重症心身障害児施設は、他の一般的な病棟やクリニックと異なり利用者の範囲が狭い。
「利用者は18歳未満の児童で重度の身体的・精神的障害を持ち、医療的サポートや身体介助を必要とする者」と法律で定められている。これから重症心身障害児施設で働くことになった、もしくは働くことを考えている看護師には「通常の看護師とは違う業務をこなせるだろうか」と心配になる人もいるのではないだろうか。
重症心身障害児施設には、卒後教育という看護師のための教育制度が設けられている施設がある。
この教育の目的は障害児の特殊性を理解した上で、看護師が看護やサポートを障害児にできるようになることである。障害児の中には言葉を話せない子どもも少なくない。だから卒後教育を通して子どもの表情やしぐさ、体調などから疾患の状況を判断できる知識や経験、洞察力などを磨き、子どもに寄り添った丁寧で迅速な対応ができるように学ぶのである。重症心身障害児の看護の分野を学んだり実習の経験のできたりする教育機関は少ないため、施設で働く看護師にとって有意義な教育制度と言える。
卒後教育の主な内容は座学と実践だ。入所してからしばらくの間は基礎・技術・コミュニケーションの研修がおこなわれる。研修が終了してからは実践の場で先輩看護師とともに入居者の看護や介助をおこなう。先輩看護師からの指示やフィードバックを受け、自ら考え行動できる看護師になっていくのである。
看護学校では習わなかった重症心身障害児への看護に不安を覚える看護師もいるだろう。しかし施設で働くことが決まった後には、手厚い教育体制が整っている。恐れずに挑戦をして欲しい。